インカトレイルの悲劇

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僕が人生で行った2回目の海外旅行は大学3年生の時。
もっぱら国内旅行専門でほとんど興味がなかった海を越えた世界を目指したのは、
その時周りの友人たちが立て続けに世界に出ていくのをちょっと妬んでいたからでもあります。

なので周りのみんながあまり行ったことのない南米を選んだのも、
そんな自尊心の表れだったのかもしれません。

この時向かったのはペルーとボリビア。
全く話せないスペイン語、いや英語もほんとダメで、
「言葉はボディーランゲィッジで!」を体現するような旅でした。

まぁーしかしそこは何でもアリの若さゆえどーにでもなったのですが。
沢山の出会いや経験を味あわせてくれたこの大陸で、
一番思い出に残っているのがやはりここ「マチュピチュ」です。
もはや世界遺産群の大エースとして誰もが知る場所ですよね。

当然僕もクスコという街からこの天空の要塞へと旅立つわけなのですが、
現地で面白いツアーを見つけたのです。

それは昔のインカの山道を3泊4日でキャンプしながら歩き、
最終的に山側からこのマチュピチュに辿り着くというもの。
なんてワイルドで楽しそうなツアーなんだ・・・。

一瞬にして心奪われた僕は即旅行代理店へ。
しかしもう価格は忘れたのですがそのあまりの高額っぷりに、
まだ一学生の身分であった僕はびっくりぎょーてん!

いかん!たかが山歩きにこんな額出してられん!
よし。こうなりゃ一人で行こう。
寝袋も持ってきてるしなんとかなるだろう。

そうして地図も前知識も何もない若者が一人、
無謀にもこの山深いインカトレイルに挑むことになったのです。

食料だけはたっぷりと買い込みいざ電車でクスコをスタート。
この電車は最終的にマチュピチュのすぐ下の街まで繋がっています。
仕入れた情報によるとトレイルのために降りるのは途中の「88」という名の駅。

しかしここで大いなる不安が押し寄せてきます。
駅に着くたびに流れる車内放送が・・・、分からない・・・。
いくら集中するも全く聞き取れないスペイン語に焦る心。
しかしここで思わぬ救世主が現るのです!

なんと車両の4つ程奥の席に大きなザックを抱えた6人組を発見!
あれは間違いなくツアー参加者達だ。
そう確信した僕はそれ以降一時も目を離さず彼らの動きに注視。
まだか?まだか?と待ち続けているとついに彼らが動いたっ!
よっしゃ!間髪入れずに僕も後に続く!
しかしちょっと待て・・・。
なんか他の乗客も全員降りてるんですけど。

これは・・・、まさか・・・。
なんと彼らはただ単に大きな荷物を持っただけのただのマチュピチュ観光客だったのです。
だ、だまされた~。

そう。ここは電車の最終駅。
インカトレイルの道を全て素通りしてなんと早くもマチュピチュに辿り着いてしまった僕。
一気に肩にかかる荷物の重量は増え、あえなく膝から崩れ堕ちる・・・。

やっちまったな-。
しばし立ち尽くすも来てしまった以上はしょうがない。
なにはともあれマチュピチュを堪能しよう。

もう20年前の話ですがそれでもこの世界遺産には、
世界中から溢れんばかりの人が集まっていました。
切り立った崖の上に建てられた壮麗な石造りの街は圧巻の一言!
これは来た甲斐があったよ~!
長い長い時が完全に止まった世界、いつまでもいれるぞここ。

しかしこのマチュピチュは夕方5時になると完全に閉門されます。
そして観光客は再び下の街まで戻っていくのです。
ある者はそのまま電車でクスコに戻り、ある者は街で1泊してまた明日ここに来る。
さーて僕はどうしようかな。

その時僕の脳裏にある悪巧みがキラーンと閃くのです!
ちょっと待てよ。
今背中に背負っているのはどこでも夜を過ごせるだけの装備品たち。
これを活かさない手はないだろう。
昼間の失敗は今この瞬間の為の導きだったのだ!

よし!やってやるぞ。マチュピチュ1人お泊り大作戦!

徐々に観光客が帰り始める頃、
まず僕はこの広い敷地を歩き周り身を隠す場所を探します。
そして少し離れた誰も来なさそうな場所で息をひそめる事小一時間。

ついに誰もいなくなりました。
昼間は人の渦に巻かれていた遺跡たちが見せてくれた本当の孤高の姿。
ゆっくりと暗くなっていく中でこの世界遺産を独り占めするとんでもない贅沢。
今思えばたまらなく濃厚な時間でした。

そして1人で心ゆくまでマヤの深い歴史に包まれ、
かつての世界に思いを馳せながらの就寝。
zzzzzzzz。

しかし、日が昇ってきたであろうかどうかの早朝。
突如聞こえた山鳴りのような歓声によって起こされたのです。

気が付くと周りは白人20人程の大グループ!
みんな異常にテンション高いぞ。
ひたすら僕に何か話しかけるのですが寝起きの僕とテンション違い過ぎて理解できない。

どうやら彼らこそが例のインカトレイルツアーの参加者だったようです。
朝一で着いたグループが到着の喜びに大騒ぎしていたみたい。
よく分からんがお前も一緒に喜ぼうぜ!
みたいなノリにどこかバツが悪い僕はそそくさーっと荷物をまとめグループから離脱し山の方へ。

しかしここから山手のほうから次々と別のツアー者たちがやってくるじゃないですか。
その度にあれ?お前もマチュピチュに向かうんだろ?的な事を言われて苦笑い。
こりゃたまらんと思い、一本下の方に伸びている道を辿り降りていくことにしました。

これでどっかの街に下りれるだろう、
なんて甘いこと考えて歩くこと数時間。
よく思い出せ。
電車に乗ってた時他に街なんてあったか?

それでもずっと続く道を信じて歩き続ける。
右も左も分からない異国の山中で完全に迷子です!
こりゃーマジでやばいと焦り始めた頃、目の前に文明の欠片を発見。
電車のレールだ!
助かった~!

そしてレール脇をひたすら歩くこと再び数時間。
身も心もくたびれ果て、再び太陽が低く傾き始めたころやっとある駅にたどり着いたのです。
そこにいた物売りのおばさんに教えてもらってびっくり!

この駅の名は   そう「88」駅。
ここだったのか・・・。
数奇な運命を感じながらもここから最終のクスコ行の電車に何とか乗り込み、
マチュピチュ1泊2日の旅は終わったのです。

ただルートと順番は違えどきちんとインカトレイルツアーと同距離はやり切りました。
秘密の体験もできたしね。
かなり危険と隣り合わせでしたがこれぞ「結果オーライ」ってやつでしょう。

あれから益々人気に拍車がかかってるとよく耳にするマチュピチュ。
いつまでもあの神秘を失くさない要塞として後世に引き継いでいってもらいたいものです。
長い長い文章 お付き合いありがとうございましたー。

湯布院カントリーロードユースホステル  
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