大草原をひたすら走る

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このどこまでも広がる大草原。

ブラジルの中央に広がるカンポと呼ばれる場所です。
15年ほど前にここにあるボニートという街に1週間ほど滞在し、
ある川へのシュノーケリングツアーに参加した帰り道の出来事。

ワンボックスに揺られながら、
参加者たちは昼間のツアーの疲れも手伝いウトウトとしていました。

しかし突如そんな平穏な静寂を引き裂く叫び声がっ!
「おいっ!みんな見て見ろっ!」
興奮しきりに大声でみんなに呼びかけるドライバー。

「あそこだっ!あそこっ!」
ドライバーが指さすその先にはなにやら黒い物体が動いていました。

よーく見てみると・・・、
こいつは・・・、
オオアリクイだっ!!
本やTVで見たまんまだ。
結構大きいぞ!

車はそこで急ブレーキで止められ、
真っ先に飛び出すドライバー。

「お前ら!早くしろっ!」
その迫力に押されて慌てて車外にでる参加者達。

その雰囲気に気づいて一目散に逃げるオオアリクイ!
こりゃー写真も間に合わないなー、
なんて悠長なことを考えていると、
ここで再び激しいお言葉がドライバーから告げられる。

「よし!追いかけるぞ!走れ!!」

真っ先にオオアリクイに向かって走り出すドライバー。
その鬼気迫る背中に押されて、
僕たちも訳も分からず後から慌てて追いかけ始めました。

終われるオオアリクイもその異様な殺気を察知したのでしょう。
全力疾走です。

しかしここで野生の思わぬ落とし穴が発覚するのです。
オオアリクイ、足遅い・・・。
普通こんな時動物って人間からなんて余裕で逃げ切れますよね。

ところが命懸けで走っているはずのオオアリクイはちょうど人間と同じくらいだったのです。
この天が与えしイタズラによって、
ここで思わぬ形での人間vsオオアリクイの一大レースが始まってしまったのです。

広い草原なので隠れることもできないオオアリクイはひたすら逃げるのみ。
ひたすら草原を走り続ける獲物と捕獲者たち。
延々と続くこのサバイバルレースの中、、
他の参加者たちは一人、また一人と大草原の中に倒れていきました。

結局最後に残ったのは僕とドライバーのみ。
2人ともゼーゼー言いながらすでに汗だく状態です。
マジできついぞ。

それでも確実にオオアリクイとの距離を詰めていき、
ついに彼の背後を捉えれる距離にまで追い詰めたのです。

「前に回り込めーー!!」

とゼスチャーで送る彼。
最後の力を振り絞りなんとか前に回り込む僕。

慌ててオオアリクイが方向転換したその瞬間。
ついにドライバーが上から抑え込み、
なんと素手でオオアリクイの捕獲に成功!

すっげー!!!

2人で焦点も定まらぬほど荒い息遣いの中でしっかりとガッツポーズ。

その後ヨレヨレとほかの参加者も集まって来て、
捕獲の歓喜の輪が広がります。

「それで、こいつを、どうするんだ??」

喜びに沸く中で誰かがドライバーに投げかけた率直な質問。
これだけ本気で捕獲したオオアリクイ。
持って帰るのか?食べるのか?どうするんだ?
みんなが注目する中でドライバーが言ったのは、

「いや・・・、べつに・・・、ただ捕まえただけ・・・」

おーーーい!!てめぇ!
ふざけんなよ!
全員これだけよろよろになりながら命懸けで捕まえたオオアリクイ。
それを「ただ捕まえただけ」だと~!

結局その後野生の敗北の掟に従い、
恐らく死をも覚悟していたであろうオオアリクイはそのまま何もなされることなく、
大草原の中に再び解き放たれたのです。

そこから車までの長い距離をとぼとぼ歩く我々は、
何とも言えない疲労感に満ちていたのですが、
ドライバーだけは意味のない満足感に満ちた顔をしていました。

しかし僕は自然界の中では人間がほぼ最遅の足かと思っていたのですが、
結構いい勝負ができるやつもいるんですね~、
それはそれですこし妙な自信が生れ嬉しかったりするのでした。

湯布院カントリーロードユースホステル  
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