情熱の代償 2

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都会の苗木買取業者と僕と共に活動するマンゴー生産者の4人。

ついにお互いが顔合わせをする日が来ました。

これはただの小さなとっかかりにすぎません。
だけど彼らと毎日会っていても大笑いするしか能がなかった僕の、
ほぼ初めての仕事なのです。

なんとしても成功させねば・・・。
自然と力が入ります。

交通手段のない彼らを首都に連れて行くために、
JICAの車を借りて乗せていくことにしました。

首都に行くことなんてほとんどない彼らも朝から大はしゃぎ。
殺気に近い興奮に満ちた車は砂丘を滑らかに乗り越えていきます。

そしていよいよ一向は首都到着!
業者との話し合いもだいたいスムーズに進み、
今度一度試しに4生産者のところに車で回ってくれることになりました。

とにかく進みだした一歩。
あー、ほっと一息。

その時4人の生産者の中で一番リーダー格のマリキが僕に言いました。

「リョウ!ちょっと腹が減ったから何か買ってきてくれよ!」

都会に出て来て、さらに商談もうまくいき、浮かれ気味の彼はちょっと上機嫌です。
しょーがないので近くの物売りからお菓子を買ってきてみんなに渡すと、

「おいおい~。わざわざここまで来てやってるんだぜ~。もっといい物かって来いよ!」

カッチーン・・・。
でた。
アフリカ人の悪いところ。
調子に乗りだしたら止まらないんですよね。

ただこれが「悪いところ」と思っているのは、
僕が人に頼ることを悪い事と信じている日本という社会に生きているからなんです。

貧しいアフリカではお金がある者がない者に物を与えるのは当たり前。
感謝をする必要もされる必要もありません。
そういう社会なのです。

でも今まで生きてきた20年以上の年月は、
早々簡単に根本的な考えを替えさせてくれません。

せっかく何度も首都まで通い業者を探し、
そして車を準備してここまで連れてきているのに、
なんで感謝もできなんだ??こんちくしょー!

と心で思いながらもしょうがなくムトンの肉を買ってくる僕。

そして近くのレストランで食事をして帰ろうと立ち寄った時、
(もちろん僕のおごりで)
マリキがまたもや放った一言が僕の胸を撃ち抜く。

「おいおい~。こんなとこじゃ食えないよ。もっといいレストランに連れってってくれ」

プッチーン。

ここがアフリカという文化も宗教も違う異国にいるという現実が
完全に頭からぶっ飛んでしまいました。

若さゆえの暴走。
一瞬我を失った僕は気が付くとマリキの胸ぐらをつかみ叫んでいました。

「いい加減にしろよ。遊びにきてるんじゃないんだ!お前には失望したよ!」

慌てて仲裁に入るドライバー。
結局その目の前のレストランで食事をしたのですが、
食事中も帰りの車中も無言のメンバー。
行きとは大違いです。

しかしここからが大騒動の始まりだったのです。

ここイスラム圏内では年上の人に手を出すことは絶対に許されません。
僕がかなり年上のマリキの胸ぐらをつかんだことは、
他の生産者たちから次々と口コミで広がり誰もが知ることとなったのです。

そしてまずは生産者たちが僕との仕事をもう一緒にしない!
と宣言してきました。

続いて近隣の村々ももうJICAとは仕事をしないと言ってきたのです。

この40km程のエリアで働いている日本人は約8名ほど。
その彼らとの活動もしないと言ってきたのです。

開かれたJICAの緊急会議。
当然僕には他の先輩隊員から厳しい意見が浴びせられます。

自分の仕事だけならまだしも、ほかの日本人の活動まで妨げてしまうとは・・・。

村人たちはもし活動を再開したければ○○CFA払え!
と要求してきました。
かなり法外な値段です。

結局彼らの多くはほんとに怒っているのではなく、
この騒ぎに便乗してうまいこと言ってなんとかお金をいただこうと企んでいるのです。
これぞアフリカ。

生産者からも、村人からも、そして先輩たちからも見放され、
四面楚歌で困り果てた僕。

そこに救いの手を差し伸べてくれた人がいたのです!
他でもない マリキ その人でした。

元からかなり仲良しだった僕とマリキ。
お互いに首都のレストランでは興奮していたのですが、
その後のどんどん大きくなる周りの便乗怒りに一番困惑していたのは当人のマリキだったのです。

アフリカの文化を理解していたつもりだったが、
安易に服をつかんでしまい、ほんとに申し訳なかった。

とを素直に謝ると、
マリキもすぐに僕を許してくれました。

がっちりと手を握る2人。
よしっ!あとはこの大騒動を鎮めるだけだ。
マリキはその後周りの村々の村長のところに今回の騒ぎの謝罪に行くのに、
すべてついてきてくれました。

当人のマリキと僕が謝罪に来ている以上、
許さざるをえない村長。

村長からの許しがでると騒ぎはすべて嘘のように引いていきました。
さすがは年功序列の極みのイスラム。

今まで積み上げてきた仕事を台無しにされかけた先輩隊員も、
この新米の大失態を許してくれました。

国は宗教が違えば、当然生き方や考え方は全く異なってきます。
常識や正義や正悪さえも違ってきます。

だけど人間同士を結びつける一番奥底の信頼はきっとだれとでも同じだと、
そう強く教えてくれたマリキ。

まだ元気にあの農園で生きてるかな~?

湯布院カントリーロードユースホステル  
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