踏み入れてはいけない場所へ

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してはいけないことを望み。
手に入らないものを欲す。

若さとは実に傲慢で我儘なものです。

そんな野望と希望に満ちていた学生時代。
怖いものなんて何もなく、日本中を走り回っていた僕たちが、
ここを目指したのもごく自然な流れと言えるかもしれません。

写真の中の森は彼の名高い 「富士の樹海」です。

車を飛ばし、荷物を抱えて人気のない場所まで歩き、
いざ森の中に入っていこうとした僕たちをまず遮ったのは、
無数の立て看板でした。

「今一度人生考え直せ!」「まずはここに電話を!」

なんども呼びかけてくる文字達に若干ビビりながら、
ゆっくりと森の中に入っていきます。

俺ら自殺しに行くんじゃないし・・・。
なんの当てもない好奇心のためだけにいくんだし・・・。

樹海の中はうっそうと茂る木々で上空を遮られ昼間でも薄暗いです。
ただずっと光が当たらない足元はすでに下草はなく、
ふかふかの苔の絨毯が柔らかく行く先を案内してくれます。

ここが樹海でさえなければ気持ちの良い森林浴の散歩道なのになぁ~。
ただただ樹海という名前に怯える我ら。

今目の前にある木の裏では・・・、
だれか死んでるのでは・・・?

そんな恐怖でたまらなく満たされてしまうお年頃なのです。
そして沈んでいく太陽と共に辺りは漆黒の闇に。

案の定、樹海抜け出せず!

ただすべて想定内。
持ってきたテントと寝袋をいつものように広げ、
夜を迎えます。

いつものように食事をし、
いつものように笑う。
しかしやはり全員の心を強く捉えて離さないのはこの想いでした。

ほんとーに、
明日出られるのか??

途方もない不安と片隅に光る昂揚感が入り混じる夜はゆっくりと更けていくのです。

そして迎えた朝。
だらだらと朝食を準備しているその時!
我々の耳が確かにとらえた自然の中の僅かな異音。

「・・・、何か聞こえた?!」
「・・・聞こえた」

全員全身の集中力を耳に凝縮。
じっと遠くから届くその音の解読に試みます。
この聞き覚えのある機械音は・・・。

まさか・・・まさか・・・。

「た~けや~ さお~だけ~・・・」

なんじゃそりゃー!!!!

文明からはるか離れた宇宙の果てにいるくらいの気分だった我々ですが、
思いのほか人里近くでキャンプをしていたようです。

その後歩き出すと、案の定1時間足らずで車道に到着。
おいおい、樹海思いのほか狭いな・・・。

そして1泊だけの短い冒険はあっけなく終了。
少し期待していたアクシデントや良からぬ出会いは一切なし。
また噂の検証のために持って行ったコンパスも一糸乱れず北を指していました。

もう日本には真の秘境はない、
と学んだあの日。

湯布院カントリーロードユースホステル  
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