嵐を呼ぶモロッコ旅行 第3章

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我々を乗せたバスは細い道を登っていき、
そしてとある村にたどり着きました。

こここそがアトラス山脈最高峰のツバカル山(4167m)へと続くイムリルという村なのです。
小さいおみやげ屋がパラパラあるだけで観光客もほとんどいません。

しかしここから見上げると遥か遠くに霞むツバカルの頂のなんと神々しいことか。
彼女はまるで優しく我々を手招いているように見えました。

そこらの子供に山について聞いてみると、
「3月までは登れるよ~」とのかるーい返事。

そん時時期は2月。
おぉ!行けるじゃないか!
んじゃいっちょう行っとくかっ!

これまたかるーい気持ちで盛り上がった2人は早速宿を決め、
翌早朝からの出発を決めたのです。

ただ何故この時もうちょっと頭が回らなかったのか・・・?
日本と同じ北半球にあるモロッコ。
冬の2月に通常登山ができるわけはなのです。

僕らの痛恨の聞き間違い。
「3月までは登れるよ~」⇒ 「3月からは登れるよ~」だったのです・・・。

そんなことを露知らぬ僕らは朝5時から起きだし薄暗い中いよいよ出発!

この時の我々。
バカンス気分でモロッコに来ていたので、
持ってきた服は半袖、薄い長そで2枚、薄いパーカーが1枚。
普通のズボンにスニーカーや安いブーツ。

ヘッドライトや地図はないのは当然ながら、
アイゼンもカッパもおよそ山に係わる基本的な装備何もなし。
さらにはこの山の基本的な情報も何もなしで登り始めたのです。

無謀極まりないこの挑戦。
どうか若さゆえの誤りとおおらかな気持ちで読み進めてください。

登りだしは約1700mから。
ここからは比較的穏やかな道をゆっくりと登りながら3200mの山小屋を経由し、
その後残り1000mのアタックをかけ登頂というのがこの山の一般的なルートです。

朝早くから出発した我々は街靴にもかかわらず、
快調に歩を進め、10時ごろには山小屋に着。
実に順調です。なにせ装備が極端に少ないので軽い!

早く着いちゃったなー。
どうしようか?
まぁ、時間もあるし頂上まで行っとくか!?

まだまだ街観光気分が抜けない僕たちは実に安易にさらに先へと進んでいきました。

しかし・・・。
ここからルートが一変!
山小屋までの道は踏み固められ、
街靴でも歩けたのですが、ここから突然雪が深くなり膝下まで沈む中
ラッセルで進んでいくしかなくなったのです。
今まで快調だったペースも極端に遅くなります。

徐々に雪が沁み入ってきて濡れる靴とズボン。

そして朝一からアタックをかけていたであろう登山隊が3隊程降りてきました。
全員完璧冬装備に命綱をつけての下山中。

山の当然の礼儀である挨拶をもちろん欠かさない我々ですが、
この深い雪山に突然現れたジーパンとスニーカーと街服の男2人に全員目が点・・・。
びっくりしすぎて言葉が出ない感じでした。

そしてだれもいなくなった山を1歩1歩進む我ら。
いよいよ人間のいてはいけない高度に踏み入れたらしく、
吸っても吸っても酸素が足りず頭には激しい頭痛が・・・。

そして恐れていたことがついに起き出したのです。

山のアタックは午前中が鉄則。
天気が変わりやすい午後は危ないからです。
移り気なツバカルも午後からは機嫌を損ねたらしく、
ついに吹雪になりだしたのです。

高山病の頭痛。
冷え切った身体。
激しい吹雪。
この危機的3拍子の中、
人生初の登山という壮太がついにダウン。

もう動けない状態になったのです。
「ごめん。もう無理だ。どうすればいいんかな・・・?」

弱り切った彼の質問の回答を必死で考えようとするも、
僕ももはや限界に近づき物事が考えられない。
「確か・・・。前に見たエベレスト登頂のTVでは全員が登ったわけじゃなかったな。
 アタック隊と待機隊に分かれてた気がする・・・」

「じゃー俺はここで待ってるから、アタックよろしく・・」

高山病でいかれきった頭の2人はもう正常な判断ができない。
がっちりと握手した後、雪原に一人彼を残して、再び歩き始める僕。
もはや何も考えずにただ上に、上に歩くのみ。

吹雪で視界ほぼ0の中気が付かなかったのですが、
実はさっきまで2人でいた場所は頂上まであと15分くらいの場所だったのです。
雪の隙間についにそびえたつ頂上の証の塔!

よたよたと震えながらなんとかツバカルの山頂に立つっ!!
やったったぜぇぇ!!壮太~!!

しかしその余韻に浸る間もなく壮太のもとに駆け戻ります。

全身雪で真っ白。
唇も真っ青になりながらも彼はまだそこでしっかりと生きてました。

すぐに降りよう!
しかしもはや冷え切った足先は言うことを全く聞かず。

どうせ濡れてるんだから・・・。
ということでここから2人で雪面をごろごろ転がり落ちながら降りていくことにしました。
滑らかな雪原と適度な傾斜が織りなす絶妙の天然滑り台。

行きにあれだけ時間がかかったルートを面白い程高速で降りていきます。
さっきまで心身ともに極限まで弱り切っていた2人ですが、
次第に面白くてしょうがなくなってきて、山小屋が見え始めたころには、
大笑いで滑り降りるくらいまでに回復していたのです。

その後の山小屋では大騒ぎ!
びしょ濡れで真っ青の日本人2人を小屋中の人が世話してくれました。

服を脱がしてくれ、毛布を掛けてくれ、暖かいスープを飲ましてくれ・・・。
なんともご迷惑をおかけしてほんとーに申し訳ありません。

2人とも死んだように夜は眠り果て、
翌朝は山小屋の人が乾かしてくれた服に再び着替えて、
ラストの山道をゆっくりと降りきり、
無事に元の村に到着。

わずか2日間の戦いでしたが、永遠とも思える長い長い戦いでした・・・。

山登り初めての壮太がここで一言。
「俺、途中ギブアップだからきっと山登りあまり向いてないな」

いや!
冬山をその恰好で4000m付近まで登ったんだぜ。絶対に才能あるっ!!
と一人心の中で思った僕でした。

やるだけやったモロッコ旅行。
しかしハプニングは最後の最後まで我々を楽しませ続けてくれるのです。

なんともしつこく続く・・・。

湯布院カントリーロードユースホステル  
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