コトパクシ登山

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今から14年前。
エクアドルの首都キトにある宿「スークレ」にすっかり埋没していた僕。

その期間2か月半。
その滞在中に着実に僕の体育会魂は浸透していき、
近くの公園に地元のエクアドル人のサッカーチームを求めては、
戦うという毎日を過ごしていたのですが、
とあることから宿のメンバーで登山でもしてみるか!という話になったのです。

せっかくだから高いとこ行こう!と話は徐々に盛り上がり、
結局目指す先は 活火山世界最高峰の「コトパクシ」(5897m)となりました。

当然最初はツアーへの参加を考えてみたのですが、
これが思いのほかぶっとぶくらい高い。

検討した結果、登山靴・寝袋・テント・アイゼンをレンタルして、
自分たちだけで行ってみることになりました。

ちなみにこれでお値段はガクーーーンとお安くなりました!

そしていざ出発前に一枚。

サンダル履きの彼以外の5名での挑戦。
みんな南米を好き勝手に旅してきて、
ここで運命がもつれるようにして出会った、
失うものが何もないアウトローたちです。

この語延々とバスを乗り継ぎ、ようやく登山口に降り立つのですが、
ここですでに標高は4500m。
だれも経験したことのない容赦なしの未知の高度にビビる5人。

それでもなんとかテントが張れる場所まで歩いていき、
必死にテントを立てるのですが、この作業中に数名がいきなりダウン。
息が苦しく、目眩がするそう。
いきなりの山の洗礼。
これが高山病です。

それでも何とかテントを立て終え、
高山病の数名が早くも中で寝込んでいる間に、
近くのテントの人に情報の収集にいきました。

なにせ山を、世の中を舐めきったアウトローな僕たちは、
地図すら持っていないのですから。

話を聞くうちにようやく状況を理解。
まずこの山。
暖かくなるとクレパスがある道が解け始めて危険なため、
出発は夜の0時。
そして明け方に登頂して、昼前には帰ってくるのが普通の行程だそうです。

しかしここにいる人たちに聞くと、
もう何日もここにいるそう。
なぜなら高度順応のためにここに数日とどまり、
何度も山を途中まで行き来して、しっかりと身体を作ってからアタックをかけるそうです。

高度順応。
そんなハイカラな行程は僕たちのスケジュールには入っていない。
何より食料は1日分しかない。

つまり・・・。
それは今夜いきなりアタックをかけるしかない!
ということを意味します。

変わらずゼーゼーと寝込むメンバーに事の真実を伝え、
どうするか確認します。
ただ選択肢はないんですよね。
もうここまで来た以上は、行くしかないのです!

少しでも体力を整えるために、
食事後即寝袋に潜り込む我ら。
しかし外気を通じて着実に漏れ伝わる寒さのためにほとんど眠れず、
ただひたすらにその時を待ちます。
0時が来るのを。

そのうち周りのテントが騒がしくなってきました。
旅立ちの時だ!
地図のない我々はほかの登山者の跡を辿る他力本願な方法しかないのです。
急げ~!

暗闇の中、無数のヘッドライトが揺れ動きます。
我々もライトオンして、その光の群れにゆっくりとついていきます。

他のパーティーはすべて3人で1組。
腰にはそれぞれしっかりと命綱を結び、
1人のインストラクターが2人のお客さんを引っ張っていくという隊形。

命綱もピッケルも持たず単独で登る我々は明らかに無知な異質者。

そして歩き出して15分。
無数の光の中で女性2名を含むパーティが降りてきました。
早すぎるリタイア。
いくら高度順のをしていてもやはり高山病はだれにでもおきてしまうのなのです。

この女性がキレイな人であるのを目ざとく観察したSがここでまさかの一言。
「ごめん。俺もリタイア」
確かに一番高山病にかかっていた彼ではあったのですが、
明らかに女性を追いかけるようにすばやくリターン。
これぞアウトロー!
ここまで来ていてまだ目先の女性に気を取られるとは・・・。
お見事っ!

さらに歩くこと1時間。
10程あったパーティもリタイア続出でどんどん数が減っていきます。
そして我がリーダーのMさんがここで無念のリタイア。
相当頭が痛いらしく、歪んだ顔を見ると誰も止められない。

結局メンバーは3人に。
高度も5000mを超えてきました。
このくらいになると、息を吸っても吸っても酸素が足りないのです。
あのもどかしさといったら・・・。

もう誰しもが周りに気をかける余裕もなく、
ただひたすら自分との戦いに没頭。
高度順応をしていないため初体験の高度に身体は驚きを隠せず、
鼓動は高鳴る一方です。

そしてどれくらいの時間が経ったのか分からないくらい歩き続けた我らの前に
最後に現れたのがそそり立つ氷の崖。

ここにピッケルを直接打ち込んで登っていくのです。
映画みたいでしょ。
しかしピッケルのない我ら。
結局前の人が空けたピッケルの穴に指を入れて、
無理やり登るという裏ワザを繰りだしなんとか壁をクリアー。

その先にあったのが 実に貴きコトパクシの頂上でした。
声にならない感動。
3人でがっちりと抱き合いました!
いくつか山に登っている僕ですが、
山で泣いたのはこれが最初で最後です。
ほんとにきつかった~。

結局最後まで登れたパーティーは僕ら以外に3組だけ。
意外にも厳しい結果となりました。

しかしこの感動のフィナーレの瞬間にも、
高度の魔力は我々の身体を深く切り刻んでいたのです。

さぁ!
降りよう!
としたとき、振りむくとTが座ったまま動かないのです。
声をかけても動かない。
近づくとはっきりと聞こえるいびき。
寝てるぞ・・・。

医者ではないので詳しいことはもちろん分からないのですが、
なにやらまずいことは間違いない!
必死で起こすとようやく目覚めてくれ、
なんとか下山開始。

しかしふと振り向くとまた寝ちゃってるのです。
この行為を延々と繰り返し、結局最後は2人でTを引きずりながらの下山。

太陽はすっかりと上がり切り、
気温はどんどんと上がっていきます。
クレパスは大丈夫か・・・?
そして高山病って後遺症とか残るのか?

もはや限界を超えた身体でいろいろ考えながら必死にTを支えて歩く2人。

しかしある程度まで降りた時、
それまで酔っ払っているような症状だったTが突如覚醒!

まだフラフラしていたのですが、なんとか自力で歩きだしてくれたのです。
高度が身体に与える影響ってすごいんですね。
とりあえずほっと一安心。

そしてこれまた永遠とも思える時間を歩き抜け、
キャンプ場に着いたのはすでに夕方。

慌ててテントを撤収し、もうバスはなかったので、
なんとかヒッチハイクで大きい町まで乗してもらい、
夜遅く無事にホテルに帰ってこれました。

ほんとーに厳しい登山。
でもやり切った感も尋常じゃなかったですよ!

みんなそれぞれに疲労困憊になったのですが、
一人最初にリタイアしたSだけはあの後一緒に降りたドイツ人の女の子と知り合いになり、
メールも交換してニコニコだったそうです。
こいつが一番すっげーやつだよ!

くれぐれも皆さん真似をせずきちんとツアーで行きましょう!

ご拝読ありがとうございました~。

湯布院カントリーロードユースホステル  
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この記事へのコメント

松下 大吾 : 2013/12/15 (日) 00:29:10

すごい登山でしたね。
そういう私は登山経験ほとんど無いのですが
初めて登った山が富士山でした。

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