
昨夜の雨もすっかりと上がったヒッチハイクの旅 2日目。
吹き飛ばさせるような強風が気になるのですが僕達もまだうす暗い6時20分にはホテルを出発。
今回の旅の最終目的地は鹿児島の西に浮かぶ「甑島(こしきじま)」に向かう事でした。
実は今年1年僕の旅のテーマは「島」だったのです。
その締めくくりとして選ばれた甑島。
ただしその第一便がとても早いのでこの日はヒッチハイクを諦め電車で川内駅までやってきました。
ここから港行きのバスに乗り高速線乗り場に向かうだけだったのですが、
やはりなにかあるな・・・、今回の旅は。
駅の構内にあった電光掲示板にたまたま目がいく。
「本日は強風のために甑島行きの高速線・フェリーは欠航します」
無情に流れる赤い点滅で作られた一文。
ガーン・・・。
なんてこった。ここが目的でここまでやってきたのに・・・。
しかし自然には逆らえない。
甑島が無くなるわけではないのです。
まだまだ人生は長い!
また次の晴れた日に来いといういい宿題をもらいましたよ。

しかし困ったのはこの大きく空いてしまった時間です。
今回は既に寒さに負けて宿は先に取ってしまっているのです。
甑島からは夕方に帰ってくる予定だったので、
ギリギリ行けそうな熊本県の最南端 八代にあるホテルを。
こんな早朝から向かったら早く着きすぎるな。
かといってこの身を切るような強風の中何かやることもない。
そんなブラブラと街中を歩く僕たちの前に現れたのが「漫画喫茶」。
漫画大好きな僕も息子も看板見た途端に心は決まりました。
ここでまったりとしていこう!
そんなこんなで3時間力いっぱいまったりとする父息子。
これはこれで幸せでした・・・。

心ゆくまでだらけきったところで再び道路という戦場に戻ります。
そして川内の町はずれから再び得意のヒッチポーズスタート!
しかしここからかなりの苦戦の世界が繰り広げられるのです。
やはり田舎の一般道のヒッチ難易度は、
途方もなく高かった・・・。
みんな物珍しそうにこっちを見はしてくれるのです。
でも止まってくれない。
そして30分以上立ち尽くしているその時。
やっと病院に行く途中というオバサマが止まってくれた!
3台目 川内 ⇒ 途中の病院 (川内に住オバサマ)
次の1台は今回の中で最速の10分でゲット。
しかも結局ずっと大回りして鶴の飛来地まで送ってくれたのです。
助かりました~。
4台目 どこかの病院 ⇒ 鶴の保存地区(仕事中のオジサマ)
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VPSここ出水市は冬にたくさんのツルが飛来する場所として有名なのです。
その数16000羽以上!
その賑やかな様子を動画でどうぞ。
あまりにもツルの声が大きすぎてゐなせが何話しているのかまったく聞こえませんので、
気になる方は「読唇術 入門」を片手にご覧ください。

そこで売っていた牡蠣を食す。
勢いで「僕も食べる!」と言ったはいいがあまりこの大人の味が分からなかった彼は、
隣の店の揚げ餅の方がお気に召したようでした。
安上がりな男よのー。

この壮大に広がる干拓地を早く抜け出さなくては・・・。
ほとんど通らない車をピンポイントで狙ってヒッチハイク!
たまたま通りかかった近所のお婆ちゃんが国道沿いのコンビニまで乗せてくれた。
5台目 出水の干拓地 ⇒ コンビニ (ヒッチの意味も知らなかったお婆ちゃん)
それにしても心が澄み渡るように空がキレイですね。

しかし本当に厳しかったのはここからなのです。
コンビニ前の国道 3号線。
通行量は多いのですがやはりこっちを見るその視線はかなり冷たい。
次々と流れていく車の前に立ち尽くしていると徐々に削がれていく忍耐力。
が、がんばれ~!
結局一度通り過ぎたという3人の女の子グループがわざわざ引き返して来て乗せてくれました。
6台目 コンビニ ⇒ どこかのプール
しかしその車は軽自動車。
若干乗車人数を気にしながらも7km程先まで乗せてくれました。
そして次のプールでもなかなか車は止まってくれず時間だけがただ過ぎてゆく。
そしてようやく止まってくれたおばあちゃん。
なんと車の後部座席は荷物でいっぱい。
「ごめんね~、前しか空いてないけどいい?」
前しか・・?なんと助手席に僕と息子が荷物を背負ったまま無理やり乗るという、
漫画の様な姿で次の水俣市まで乗せてくれました。
これは想像以上にきつかった・・・。
7台目 プール ⇒ 水俣 道の駅(温泉に向かう途中だったお婆ちゃん)
次に乗せてもらったのが軽自動車のお姉さん。
この方がとてもお話上手で水俣の公害の歴史を詳しく教えてくれました。
なんて分かりやすい説明なのか。
それもそのはず。
なんと水俣にある 「水俣病資料館」で働いている方でした。
8台目 道の駅 ⇒ つなぎ美術館(資料館で働くお姉さん)
今度はぜひ資料館行ってみたいね!

ここでいよいよ日が暮れだしました。
暗くなると一気にヒッチは難しくなります。
そしてぐんぐんと下がる気温。
拝啓
「八代近いからこのままだとすぐに着いちゃうな」
と言って漫画喫茶で3時間過ごしたあの頃の自分へ。
人生甘くみてんじゃねーぞ。
しかしそんな事を言ってもどうしようもない。
今はただひたすら笑顔で手を上げ続けるのみ・・・。
実はこのヒッチハイクをやり続けると左肩がピキピキになってしまうんです。
とくに交通量が多い国道では手を休める時がないので筋肉は悲鳴を上げます。
すでに息子の左手もかなり下がり出しています。
いかん、このままでは一緒に気持ちまでも下がり出すぞ!
ここでも30分以上が過ぎそろそろ身体が冷え切ったその時、
一台の車がゆっくりとこちらに向かってきてくれた。
「こんな小さい子が寒空の下にいるのが可哀そうで・・・」
息子の大活躍でなんと宿泊予定の八代のホテルまで連れて行ってくれた!
本当にありがとうございます!
9台目 美術館 ⇒ 八代のホテル (新婚のラブラブカップル)

そして本日も無事に夜の20時にはホテルに着。
これもしも甑島行ってたら今日ここに来れなかったな・・・。
これも巡りあわせ。
大いに感謝しながら今夜は2人で居酒屋でカンパーイ!
しかしこのヒッチハイクの旅。
実は旅として成り立ってないんですよね。
恐らく僕一人だったらほとんど進めないです。
今これができるのは息子に対する「小さい子だから可哀そうで」という感情のおかげなんです。
そう考えると果たしてこれを旅として呼んでもいいのかどうかすら疑問に感じてしまいます。
ただお金を節約したからという昔の主目的はこの旅行に全く含まれていないんです。
とにかく息子にどんな状況になっても自分で何とかしていく術を知って欲しくて始めた旅なので、
彼自身がそれを経験として知り、できるという自信がつけばもうこの旅の役割は終わりでしょう。
それは恐らく来年の6年生が最後になるのでは・・・。
あと1回。
きっとそれが彼との最後のヒッチハイクの旅となるのかな・・・。
そんな事を考えて飲みながら2日目の夜は更けていくのでした。
湯布院カントリーロードユースホステル